トランキライザー

 

言い出したのは、私の方だった。
 
彼は在宅ワーカーで、いつもイライラしながら仕事をしていた。
 
いつだったか、彼が私に八つ当たりをして。
だったら私を抱け、と言ったのだ。
 
哀しかった。
だから少しでも慰めになれば、と。
そう思ったから。
 
当然彼は吃驚して、冗談は止せと言われた。
そして私が本気だと知ると、今度は謝った。

謝る必要なんかない、抱いてもいい、と言った。
本当にいいのか、と言われた。
しつこい、と言った。

それから度々彼の元を訪れては、行為をするようになった。
彼が忙しい時は、舐めて処理した。
私は心配要らないとよく笑った。

行為をした日は(私が彼に会いに行ってしない日などなかったが)
帰りの交通費だけ貰った。

私は役に立っているだろうか。
 
彼のトランキライザーになれているだろうか。

私は彼のことを好きなのだろうか。

わからない。

わからない。

わからない。

彼が嫌がらないので、私は彼が仕事をしている側で本を読んだりもしていた。
その時間が、一番好きだった。

私は役に立っていますか。

あなたのトランキライザーになれていますか。

 

 

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一応男でも女でもとれるように書いてます。
モデルがいるのが怖いところ(苦笑)。

2004.1.12