かみなり

 

 ピカッズガーン!
「ぎゃああぁぁぁっ!」
 ゴロゴロゴロ…。余韻を残して段々と静かになっていくかみなり。
「今のは近かったな」
「うううううぅぅぅ〜っ」
 先ほどからのこの雷雨で、停電になった。
 遊びに来ていた友人は突然悲鳴を上げ、俺に抱きついてきたのだった。っつーか、男に抱きつかれても何にも嬉しくないわけだけども。
 本人曰く、
「俺はかみなりも暗闇も大っ嫌いなんだよっ!!」
 だそうだ。
 その涙声から察するに本当に苦手なのだろう。
 ビカッ!ズガガーン!
「ぎゃ――――――っ!!」
 さっきのよりも大きいかみなりがなった途端、そいつはものすごい声を出してバッ!と手を離し、ずざざっと後ずさった。
「何だ?」
「お前の顔も怖い…」
「…コロス」
「ぎゃっっごめんって!ちょ、そんなトコ触んなよ、くすぐってぇ」
「は?」
「ごめ、ごめんってば!あはははは!」
 暗くて訳が分からない。
 そう思った丁度その時、停電が直った。
 パッ!
「あれ?いつの間にそんな遠くに瞬間移動したんだ?」
「俺はここから一歩も動いちゃいないが」
「だって、さっきくすぐってたの…」
 すると、サーッと奴の顔色が青くなった。
「…俺のことくすぐってたの、小さい子供の手だったような…しかも、4〜5本あったような…ここには俺とお前しかいないのに……」
 とりあえず、俺はさっと耳を塞いだ。
「ぎ、ぎゃああああああああ―――――っ!!」
 鳴り止まないかみなりの中、一際うるさい悲鳴が辺りに響き渡った…。



 後日談。
「お前よくあんなとこ住んでられるな…」
「そういや前から子供の笑い声がするなーとは思ってたんだよな」
「早く言えよそういうことはッ!!もうぜってーお前んち行かねー!!」
「あっそ」
「だから次からはお前が俺んち来いよな!」
「何でそうなるんだよ」
「当たり前だっ!」
「そういやあの子供たちが喋ってるの聞いたんだが、お前のこと気に入ったらしくて今度はお前んち行くって言ってたぞ」
「えええっ!!?…お前んち泊めろ―――!!」
「どっちだよ」

 

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 なかよし。

2003.11.11